交通事故で後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級の認定を受けることで、相手方に慰謝料を請求することが可能となっています。
この後遺障害等級の認定には、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。
当記事では、後遺障害等級の事前認定の詳しい解説と、メリット・デメリットについて解説をしていきます。
◆事前認定と被害者請求
冒頭で後遺障害等級の認定には、事前認定と被害者請求の2種類があるということを説明しました。
両者にはどのような違いがあるのかについて詳しく解説をしていきます。
●事前認定
事前認定とは、加害者側の任意保険会社を中心に、後遺障害等級認定に必要な資料を用意し、加害者側の自賠責保険会社に認定の申請を行う手続きです。
弁護士に交通事故の損害賠償請求について委任していない場合に利用されることが多く、任意保険会社に手続きを一任することになります。
●被害者請求
被害者請求とは、被害者自らが請求の主体となって、後遺障害等級の認定に必要な書類を収集し、加害者側の自賠責保険会社に対し、認定の申請手続きを行う方法となります。
事前認定との違いは、被害者が必要書類の収集を行うため、被害者の負担が大きくなってしまいます。
◆事前認定のメリット・デメリット
●メリット
事前認定のメリットは、任意保険会社に手続きを一任するため、被害者の負担が少ないという点です。
事前認定を利用する場合には、被害者は医師から後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社に提出するだけとなっています。
提出後は、後遺障害等級認定の結果が、相手方の任意保険会社から報告されるまで待つだけとなります。
●デメリット
事前認定のデメリットは、「相手方の」任意保険会社が手続きを進めることです。
しかるに、相手方の任意保険会社は、あくまで相手方の味方であるため、申請をする際には、なるべく支払う慰謝料の額を低くするために、被害者に不利な等級で認定されるように書類等を提出する可能性があるということです。
また、被害者が用意した診断書や添付書類に不備があった場合であっても、被害者本人に特に知らされることなく手続きが進んでしまうということがありえます。
もう1つのデメリットは、事前認定での申請を行った場合には、治療費などの先払い金を受け取ることができないという点にあります。
先払いを受けることができない理由としては、事前認定の場合には、示談が成立した後に一括で慰謝料を支払うといった清算方法がとられているためです。
もし被害者請求を利用した場合には、後遺障害等級が認定された段階で、自賠責保険の範囲の限度額で慰謝料の先払いをしてもらうことができます。
◆後遺障害等級に納得ができない場合には
弁護士に依頼をせずに事前認定で後遺障害等級の認定を申請した結果、低い等級しか認定されなかった場合や、非該当となった場合には、異議申し立てを行うことが可能となっています。
この異議申し立ても事前認定か被害者請求のどちらかの方法を選ぶことができます。
しかし、もう一度事前認定で異議申し立てを行なっても、結果を覆すことは非常に難しくなっているため、被害者請求による異議申し立てをおすすめしています。
そして、異議申し立てを行う際には、当初の申請で不足していた書類などを追加して提出する必要があるため、専門家である弁護士に相談をすることで、しっかりと書類を収集することをおすすめしています。
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後遺障害等級の事前認定とは?メリット・デメリットも併せて解説
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